テレアポの現場で「あの人は取れるけど、他の人は全然取れない」という状態、よくあると思います。
いわゆる属人化です。
属人化というと、ネガティブに語られることが多いです。例えば、
「属人化を解消しましょう」「仕組み化しましょう」「マニュアルを作りましょう」
こういう話はどの業務でも出てきます。
でも、僕らグッドアポはテレアポの属人化を「悪」だとは思っていません。
なぜかと言うと、属人化しているということは、その人が成果を出しているということだからです。
それは組織にとってプラス以外の何でもない。
ただ、裏を返せば、成果がその人に集中しているということでもあります。
その人がいなくなったらどうなるか。チーム全体の成果を上げたいとき、同じことを他のメンバーにも求められるか。
つまり、属人化の問題は「成果を出す人がいること」ではなく、「その人以外が成果を出せない構造になっていること」です。
この記事では、テレアポの属人化がなぜ起きるのかを構造的に整理した上で、優秀な人の価値を否定せずに全体のベースラインを上げるための設計の考え方を、僕らの実践をもとに解説します。
目次
そもそも「属人化」はテレアポだけの話ではない
属人化という言葉はテレアポに限った問題ではありません。
営業、カスタマーサクセス、採用、マーケティング——人が介在する業務であれば、どこでも起きます。
テレアポで特に目立つのは、成果が数字で見えやすいからです。
架電数、通電率、アポ率。誰が取れていて誰が取れていないかが、数字で一目瞭然になる。
だから「属人化している」と気づきやすい。
逆に言えば、数字で見えるからこそ改善もしやすい領域でもあります。
属人化が悪ではない理由
属人化を解消しましょう、という記事はたくさんあります。
でも、僕らはまず「属人化は本当に悪いのか?」から考えるべきだと思っています。
「取れる人がいる」は組織の資産
テレアポで安定してアポが取れる人がいるなら、その人の存在自体は組織にとって大きなプラスです。
問題視すべきは「その人がいること」ではなく、「その人がいなくなったら成果が維持できないこと」。
ここを混同すると、優秀な人のやり方を潰す方向に走ってしまう。
マニュアルで縛って全員を同じやり方に揃える——これは属人化の解消ではなく、天井を下げているだけです。
属人化の本質は「改善サイクルの偏り」
では、取れる人と取れない人の違いは何か。
僕らがいろんな案件を見てきて感じるのは、「場数」だけでは説明がつかないということです。
同じ100件を架電しても、断られた時に「なぜ断られたか」を振り返って次の架電で試す人と、そのまま次に行く人がいる。
前者は架電のたびにやり方がアップデートされる。後者は1件目と100件目で同じことをしている。
つまり、取れる人は自分で改善サイクルを回せる人です。
そしてそれができること自体が優秀なんですよね。
属人化が起きるのは、この改善サイクルが個人の能力に委ねられているから。
回せる人は成果が出る。回せない人は出ない。組織として改善の仕組みが設計されていないから、成果が人に偏る。
設計でできること——属人化に「頼らない」仕組みを作る
属人化は悪ではない。でも、属人化に頼る必要もない。
優秀な人がやっていることを潰すのではなく、その人がいなくても最低ラインが保てる設計を作る。
そうすれば、優秀な人はさらに上に行くし、そうでない人もベースラインが上がります。
僕らグッドアポが実践しているのは、個人の改善サイクルに頼らず、設計の側で改善を回す仕組みです。
設計1|リストに「仮説」を載せる
多くのテレアポ現場では、リストは「架電先の一覧」でしかありません。
会社名、電話番号、業種、規模。上から順に電話する。
これだと、アポが取れるかどうかは確率の問題になります。
課題を持っていない企業にも同じように架電するので、架電数を増やすしかない。結果として、根気と勘のある人だけが結果を出す構造になる。
僕らがやっているのは、リストに「仮説」を持たせることです。
企業が公開している情報——採用ページの更新状況、プレスリリース、IR情報、経営方針——から、
「この企業は今、この課題を持っている可能性が高い」という仮説をリスト設計の段階で組み込みます。
仮説があれば、電話の切り出しが変わります。「サービスのご案内です」ではなく、「御社が先日発表された○○に関連して」と入れる。
これは個人のセンスではなく、リストの設計で誰でもできるようになることです。
設計2|スクリプトを「セリフ集」ではなく「構造」で作る
属人化が起きている組織のスクリプトを見ると、場面ごとのセリフが並んでいるだけのことが多い。
「最初にこう言ってください」「断られたらこう返してください」——これだとセリフを暗記しているだけなので、想定外の反応が来た瞬間に止まります。
結果として、アドリブが利く人だけが成果を出す。
僕らがスクリプトを作るときに意識しているのは、セリフではなく構造です。
なぜこの順番で話すのか
この断りが出たとき、相手の中で何が起きているのか
どの場面で押すべきで、どの場面で引くべきか
構造が分かっていれば、言葉は自分の言い方でいい。「このセリフを言え」ではなく「この場面ではこういう判断をしろ」という設計にする。
そうすれば、個人のアドリブ力に頼らなくても判断ができるようになります。
【事例】介護支援サービスのスクリプト改善
僕らが担当した介護支援サービスの案件では、「介護の相談は上がっていない」という断りに対して、当初は「男性社員は相談しにくい属性だから」と返していました。でもこれは反応が悪かった。
スクリプトの構造を見直し、「介護の相談はそもそもパーソナルな話題なので、誰でも相談しにくいものです」という切り口に変更したところ、共感を得やすくなりました。
これはアポインターの力量で変わったのではなく、スクリプトの設計を変えたことで起きた改善です。
設計3|改善をデータで回す
優秀なアポインターは、架電しながら無意識に「この時間帯はつながりやすい」「この断り文句が多い」という傾向を拾っています。
でも、それが本人の頭の中にしかないと、組織のナレッジにはならない。その人が辞めたら消える。
僕らがやっているのは、この改善サイクルをデータとして設計に組み込むことです。
【データ】食品製造業 時間帯別の担当者接続率(約850件の架電データ)
午前10〜12時の担当者接続率:17〜19%
午後13〜17時の担当者接続率:12〜16%
17時以降の担当者接続率:7.8%
この分析結果をチーム全体で共有し、架電の配分を午前に寄せました。
「なんとなく午前がいいらしい」ではなく、データで裏付けを取って設計に反映する。
断り文句のパターンも同様です。「間に合っています」が多い時期にはスクリプトの切り出しを見直す。
「担当者不在」が多い時間帯は架電タイミングを変える。こうした改善を個人の感覚ではなくデータで回す仕組みを作ることで、誰がやっても一定の成果が出る設計になります。
属人化の解消を自社でやるか、外注するか
ここまでの話を読んで、「理屈は分かるけど、うちのチームでここまでやれるのか」と感じた方もいるかもしれません。
正直なところ、リスト設計に仮説を持たせる、スクリプトを構造で作る、架電データを分析して改善を回す——これを営業チームの日常業務の中でやるのはかなりの工数です。
自社でやる場合
まずは「取れている人が何をやっているか」を言語化するところから始めるのが現実的です。
トップアポインターの架電を録音して聞く、断り文句への返し方を比較する、時間帯別の成果を集計する。地味な作業ですが、これだけでも設計の材料は集まります。
テレアポ代行に任せるという選択肢
もう一つの方法として、設計ごとテレアポ代行に任せるという選択肢があります。
ただし、「架電数をこなすだけの代行」に出しても属人化の構造は変わりません。代行会社の中で同じことが起きるだけです。
僕らグッドアポは、リスト設計・スクリプト設計・データ分析をセットで行い、改善サイクルを設計として回しています。
特定のアポインターの力量に依存するのではなく、設計の精度でアポ率を安定させる——これが僕らの考え方です。
よくある質問
Q. トップアポインターが辞めたら成果は落ちますか?
設計が個人に依存している場合は落ちます。逆に、リスト設計・スクリプト構造・データ改善の仕組みが組織に残っていれば、人が変わっても大きくは落ちません。
大事なのは「誰が架電するか」ではなく「どういう設計で架電するか」です。
Q. マニュアルを作ればアポ率は均一化できますか?
セリフを揃えるだけのマニュアルでは難しいです。
「何を言うか」よりも「なぜそう言うのか」「この断りが出たとき相手の中で何が起きているか」という構造を共有する方が効果があります。
Q. 属人化を解消するとトップアポインターのモチベーションが下がりませんか?
属人化の解消は「全員を同じレベルに揃える」ことではなく「ベースラインを上げる」ことです。
トップの人はさらに上に行けるし、設計の改善に巻き込めばその人のナレッジが組織の資産になります。正しくやれば、トップの人にとってもプラスになります。
まとめ
テレアポの属人化は、悪ではありません。
取れる人がいるということは、成果を出すやり方が組織の中に存在しているということです。その人自身は組織の資産です。
ただし、その人の成果に依存し続ける構造にはリスクがある。
属人化に「頼らない」設計を作ることで、優秀な人の価値を活かしながら、全体のベースラインを上げることができます。
リストに仮説を持たせて、誰が電話しても切り出しが変わるようにする
スクリプトをセリフではなく構造で作り、判断の基準を共有する
改善サイクルを個人の感覚ではなくデータで回す
「属人化を解消する」のではなく、「属人化に頼らなくても成果が出る設計を作る」。
この考え方が、テレアポの成果を安定させる本質だと僕らは考えています。
大手外資系IT企業でインサイドセールスを3年経験。テレアポ代行の実績は5年以上。
単なるアポ獲得ではなく、成約率まで追いかける支援を掲げており、テレアポ経由の成約率で最高53%を達成。
BtoBの新規開拓を支援する中で得た知見を、できるだけ分かりやすくお届けしています。