保険業界のテレアポ代行|金融商品の規制とアポ設計の注意点

保険業界のテレアポ代行|金融商品の規制とアポ設計の注意点

保険のテレアポを外に出せるかどうかは、誰にかけるかではなく、電話口で商品の話をするかどうかで決まります。

保険は、登録を受けた人しか募集できない商材です。そのため「保険のテレアポを代行に頼めるのか」という問いは、料金や実績の前に、電話口で何を言うかという設計の話になります。

この記事では、テレアポを外に出すかどうかを検討している保険代理店の経営者・営業責任者、保険会社の法人営業の責任者に向けて、次の内容を整理しました。

  • 保険のテレアポを分ける3つの型と、その見分け方
  • 電話で言えること・言えないことの線(条文と出典つき)
  • 外注したときに自社に生まれる管理の仕事
  • 商材ごとに変わる決裁者
  • 手数料の払い方で論点になること
  • 代行に向かないケース

法令に触れる箇所は、保険業法の条文、金融庁の監督指針、生命保険協会のガイドラインの原文を出典として示します。また、数字や運用の話には出どころを【実績値】【社内の設計値】【社内の運用】【一般的な目安】の形で付けました。なお、架電のコツやトーク例、テレアポの求人をお探しの場合、この記事は対象外です。

目次

「保険のテレアポ」は、誰に何を売る電話かで3つに分かれる

保険のテレアポとひとくちに言っても、誰に何を売る電話かで、かかる決まりも難しさも別の仕事になります。まず自社の電話がどれなのかを決めてください。ここで決めた型が、この先の章の読み方をすべて決めます。

分け方は3つです。①と②はかける側が保険を売っているので、次の章で説明する保険募集の決まりがかかります。③は保険を売っていないので、その決まりはかかりません。テレアポ代行という仕組みそのものについてはテレアポ代行とはで整理しています。

①個人のお客様への保険の電話

個人契約の生命保険・医療保険・自動車保険などを、個人のお客様に案内する電話です。既契約者への見直しの電話もここに入ります。求人情報や架電のコツとして出てくる「保険のテレアポ」は、多くがこの型を指しています。

保険募集の線がいちばん近く、断られた先の管理も苦情の責任も依頼した側に残るため、外に出す設計がもっとも難しい型です。グッドアポは法人向けに特化しているため、この型はお受けしていません。個人向けの架電を専門に扱っている会社が別にありますので、そちらをあたってください。

②法人への保険の電話

経営者保険・事業保障・役員退職金の準備、従業員の福利厚生、火災・賠償・業務災害などの損害保険を、法人に案内する電話です。架電先は法人ですが、売っているのは保険なので、保険募集の決まりは①と同じようにかかります。

この記事がいちばん厚く扱うのがこの型です。法人向けの新規開拓そのものの進め方は法人向けテレアポ(BtoB)にまとめています。

③保険業界への非保険商材の電話

保険代理店や保険会社を架電先にして、業務システム・人材紹介・広告などを提案する電話です。かける側が売っているのは保険ではないため、保険募集の決まりは基本的にかかりません。架電先が保険業界というだけで、進め方は他の業種と同じ枠です。

グッドアポにたまに届く保険業界からの相談は、この③が中心です【実績値】。進め方は他の業種への架電と基本的に同じになります。「保険 テレアポ」で調べている人の中にはこの③の方も混ざっているため、ここで分けておきます。

型かける人架電先売るもの保険募集の決まり主な難所グッドアポの対応
①個人のお客様への保険の電話代理店・募集人(またはその委託先)個人保険かかる募集の線がもっとも近い。苦情と断られた先の管理が重い対応していません
②法人への保険の電話代理店・募集人(またはその委託先)法人保険かかる電話口で商品の話ができないため、会う理由を作りにくい対応できます(保険での架電実績はありません)
③保険業界への非保険商材の電話システム・人材・広告などの会社保険代理店・保険会社保険ではない商品かからない相手が営業電話に慣れている対応できます(実績あります)

②の中では、生命保険(経営者保険・事業保障・役員退職金の準備、従業員の福利厚生)と損害保険(火災・賠償・業務災害)で、会う相手も動く時期も変わります。この違いはH2-5の決裁者の章で分けて説明します。生命保険の法人向け、いわゆる生保の架電も、募集の決まりのかかり方は②と同じです。

いっぽう、保険ではない金融商品(投資信託・外貨建の金融商品など)の架電は、保険業法ではなく金融商品取引法の世界の話になるため、この記事では扱いません。外貨建・変額などの特定保険契約は、保険業法第300条の2により金融商品取引法の行為規制の一部が準用される領域で、扱いが重くなります(保険業法・e-Gov法令検索)。

なお、少額短期保険(ミニ保険)や共済は、この3つとは扱いが変わるため、この記事では触れません。

保険のテレアポで先に決まるのは「電話で何を言えるか」

保険のテレアポを外に出すときの分かれ目は、「誰にかけるか」ではなく「電話口で具体的な保険商品の推奨・説明をするか」です。ここが、この記事でいちばん重要なところです。順を追って条文で確認します。

保険募集とは何か

保険募集とは、保険契約の締結の代理または媒介を行うことです。保険業法第2条第26項がそう定めています(保険業法・e-Gov法令検索)。

これだけでは実務で使えないため、金融庁の「保険会社向けの総合的な監督指針」II -4-2-1(1) が中身を4つに分けています(金融庁 保険会社向けの総合的な監督指針)。

  • ア.保険契約の締結の勧誘
  • イ.保険契約の締結の勧誘を目的とした保険商品の内容説明
  • ウ.保険契約の申込の受領
  • エ.その他の保険契約の締結の代理又は媒介

電話に置き換えると、勧誘そのもの、商品の中身の説明、申し込みを受けること、の3つははっきり保険募集です。問題になるのは4つ目の「その他」です。

保険募集は登録を受けた人しかできず、外注もできない

保険業法第275条第1項は、登録を受けた生命保険募集人、損害保険会社の役員・使用人や登録を受けた損害保険代理店、少額短期保険募集人、保険仲立人などが行う場合を除くほか、「何人も保険募集を行ってはならない」と定めています。登録は第276条です。

さらに、保険募集そのものを外に出す道はほとんどありません。第275条第3項は、保険募集の再委託ができる場合を、再委託する側が保険会社または外国保険会社等で所属保険会社等と密接な関係を持つこと、再委託を受けるのがその生命保険募集人または損害保険募集人であること、所属保険会社等の許諾を得ていることの3つを満たし、かつ内閣総理大臣の認可を受けたときに限っています。監督指針 II -4-2-1(2) の注4も、保険募集業務そのものを外部委託することは「法第275条第3項に規定する保険募集の再委託に該当するため、原則として許容されない」としています(金融庁 保険会社向けの総合的な監督指針 II -4-2-1(2) 注4)。

つまり、代行会社に保険募集そのものを任せる設計は、原則として通りません。テレアポを外に出すという話は、保険募集ではない部分をどこまで切り出せるか、という話になります。

境目は「具体的な保険商品の推奨・説明をするか」だけになる

「エ.その他の保険契約の締結の代理又は媒介」に当たるかどうかは、2つの要件で判断されます。監督指針 II -4-2-1(1) は、一連の行為の中での位置づけを踏まえたうえで、次のアとイに照らして総合的に判断するとしています。

  • ア.保険会社または保険募集人などからの報酬を受け取る場合や資本関係等を有する場合など、募集行為と一体性・連続性を推測させる事情があること
  • イ.具体的な保険商品の推奨・説明を行うものであること

代行会社には報酬を払うため、実務ではアに当たる事情が置かれた状態から考えることになります。そうなると、検討の中心はイ=電話口で具体的な保険商品の推奨・説明をするかどうかに寄ります。ただし指針は、一連の行為の中での位置づけを踏まえて総合的に判断するとしており、イだけで決まると書いているわけではありません。それでも、先に電話の中身を決めておく必要があることは変わりません。

保険会社名を告げることも論点になり得る

線は、思っているより手前にあります。生命保険協会の「募集関連行為に関するガイドライン」(令和8年1月29日)は、「一連の行為のなかで、特定の保険会社や保険商品を推奨する意味合いで保険会社名等を告げる行為についても、『具体的な保険商品の推奨・説明を行う行為』に該当し得る」としています(生命保険協会 募集関連行為に関するガイドライン)。

名乗りの中で保険会社名と商品名を出すことが、すでに論点になり得るということです。監督指針 II -4-2-1(2) の注2も、「業として特定の保険会社の商品(群)のみを見込み客に対して積極的に紹介して、保険会社又は保険募集人などから報酬を得る行為」は保険募集に該当し得るとしています。

逆側の線も指針に書かれています。II -4-2-1(2) の注3は、「コールセンターのオペレーターが行う、事務的な連絡の受付や事務手続き等についての説明」だけを行う場合は、基本的に保険募集にも募集関連行為にも該当しないとしています。ほかに、指示を受けて行う商品案内チラシの単なる配布、金融商品説明会での一般的な仕組み・活用法の説明、広告を掲載する行為が並んでいます。

指針・ガイドラインが挙げている行為位置づけ電話では何をすることになるか出典
保険契約の締結の勧誘保険募集(ア)加入をすすめる監督指針 II -4-2-1(1)
締結の勧誘を目的とした保険商品の内容説明保険募集(イ)保障内容・保険料を説明する監督指針 II -4-2-1(1)
保険契約の申込の受領保険募集(ウ)電話で申し込みを受ける監督指針 II -4-2-1(1)
推奨する意味合いで保険会社名等を告げる行為「具体的な保険商品の推奨・説明」に該当し得る名乗りで保険会社名・商品名を出す生保協会ガイドライン 2.
商品の推奨・説明を行わず契約見込客の情報を提供するだけの行為募集関連行為の例(直ちに募集規制が適用されるものではない)商品の話をせず、会う場だけを取り次ぐ監督指針 II -4-2-1(2) 注1
オペレーターが行う事務的な連絡の受付・事務手続き等の説明のみ基本的に保険募集にも募集関連行為にも該当しない日程調整や事務連絡だけを行う監督指針 II -4-2-1(2) 注3

この表は、指針とガイドラインに書かれていることを並べたものです。自社のスクリプトがどこに当たるかの判断は、この表では決まりません。実際の言い回しと一連の流れを見たうえで総合的に判断されるものなので、所属保険会社のコンプライアンス窓口、顧問弁護士、金融庁・財務局に確認してください。

なお、電話を受けた相手からの見え方についてはテレアポ代行は迷惑なのか、依頼元と代行会社のどちらが何を負うのかについてはテレアポ代行のトラブルもあわせてご覧ください。

電話口で言えること・言えないことの線引き

ここまでを踏まえ、契約の前に文書で決めておく項目を整理します。下の表は、グッドアポが②(法人への保険の電話)をお受けする場合の方針です【社内の設計値。②の架電実績はまだありません】。

項目決めておくこと
名乗り依頼元の代理店名を名乗る。代行会社の名前は出さない
用件の伝え方商品ではなく、課題や制度の側から立てる。募集人が直接説明する場をもらう形で打診する
商品名を出すか出さない。保険会社名・商品名には触れない
金額に答えるか答えない。保険料・保障内容は依頼元へ渡す
申込の受付行わない
依頼元へ渡す位置具体的な保険商品の推奨・説明、保険料、保障内容に関する質問が出た時点で渡す
スクリプトの承認者依頼元の担当者。加えて業務管理責任者・所属保険会社のコンプライアンス窓口の承認も得る形が望ましい

特定商取引法は適用除外。ただし緩くなるわけではない

登録を受けた特定保険募集人が行う保険募集は特定商取引法の適用除外ですが、規制が緩くなるわけではありません。適用除外になるのは、特定商取引法の訪問販売・通信販売・電話勧誘販売の規定です。根拠は特定商取引に関する法律第26条第1項第8号ニと、同法施行令第11条・別表第二第37号です(いずれもe-Gov法令検索)。

特定商取引法の代わりに、保険業法の募集規制がかかっている、という関係です。特定商取引法そのものの中身は別の記事で扱います。

テレアポを外注すると、依頼した側に「委託先管理」が生まれる

外に出した業務が「募集関連行為」に当たる場合、代行会社はその従事者に位置づけられ、依頼した代理店の側に、委託先を選んで管理し所属保険会社へ報告する仕事が生まれます。丸投げにはなりません。当たるかどうかは個別に判断されるもので、監督指針の例示にアポイントの取得そのものは挙がっていません。自社のケースの当てはめは所属保険会社に確認してください。

募集関連行為とは何か

監督指針 II -4-2-1(2) は、契約見込客の発掘から契約成立に至るまでの広い意味での保険募集のプロセスのうち、(1) に照らして保険募集に該当しない行為を「募集関連行為」と呼び、直ちに募集規制が適用されるものではないとしています。注1に挙がっている例は、「保険商品の推奨・説明を行わず契約見込客の情報を保険会社又は保険募集人に提供するだけの行為」です。

ただし、そこで話が終わりません。同じ (2) は、募集関連行為を第三者に委託する場合、委託を受けた第三者(募集関連行為従事者)が不適切な行為を行わないよう留意することを求め、保険会社には、保険募集人が適切な委託先管理を行うよう指導することを求めています。II -4-2-9(3) も、保険募集人が募集関連行為を行わせる場合の留意点は II -4-2-1(2) を参照すると定めています(金融庁 保険会社向けの総合的な監督指針 II -4-2-9(3))。代理店が外注する場合も、同じ規律がそのままかかります。

委託すると、依頼した側に管理が生まれる

具体的に何をすることになるのかは、生命保険協会のガイドライン3.(1)〜(5) に並んでいます(生命保険協会 募集関連行為に関するガイドライン)。依頼する側と代行会社の分担で整理すると、次のようになります。

場面依頼する側(代理店)がやること代行会社がやること
委託先の選定財務・経営内容、情報管理と守秘義務、苦情相談の態勢、定期レポートが出せるかを確認して選ぶ会社概要、架電体制、情報管理の方法、苦情発生時の連絡フロー、再委託の有無を出す
委託契約サービスの内容と水準および解約の手続き、契約どおり提供されない場合の責務と損害の負担、受ける報告の内容、金融当局の検査・監督上の要請に沿って対応する際の取り決めを明示する提示された条項に沿って体制を整える
定期の確認委託時だけでなく定期的に実施状況を確認し、必要に応じて改善を求める実施状況を報告し、求められた改善に対応する
監査外部に委託した募集関連行為も監査の対象にする監査に必要な記録を出す
個人データ顧客同意の取得などの手続きが適切に行われているかを確認し、取得経緯等の記録・保存の体制を整える受渡しの方法と記録を定めて運用する
所属保険会社への報告委託している情報を定期的に保険会社へ報告する体制を整える報告に必要な資料を渡す(報告書の作成・提出は依頼した側の責任)
スクリプトの承認商品の話に踏み込んでいないかを確認して承認するスクリプトを作成し、承認を得てから架電を開始する

委託先をどう見るかという観点は、保険に限らず依頼前のチェックにも共通します。

所属保険会社への報告と、委託先一覧の様式

委託した業務が募集関連行為に当たるなら、所属保険会社へ定期的に報告する体制が要ります。生命保険協会のガイドラインがその体制の整備を求めていて、別紙②に「募集関連行為委託先一覧(ひな形)」が付いています(生命保険協会 募集関連行為に関するガイドライン 3.・別紙②)。当てはまる場合は、この一覧に1行増えることになります。

様式に書く項目は次のとおりです。

  • 募集関連行為従事者名(商号または名称)と所在地(市区町村まで)
  • 委託している業務の分類(1. 保険契約見込客発掘及びその情報の貴店への提供/2. 保険契約見込客発掘及びその見込客への貴店の紹介/3. 一般的な保険商品の情報提供/4. その他)
  • 委託している業務の具体的内容
  • 前回点検後の実績(1. 行為実績あり・対価/報酬支払あり/2. 行為実績あり・対価/報酬支払なし/3. 行為実績なし)

この様式と項目はガイドラインに載っているものです。ただし、書類を出せば適法になる、という話ではありません。実際に何をどこまで出すかは、所属保険会社に確認してください。

リストを買う場合も同じ枠に入る

同じガイドラインは、第三者から契約見込客の情報として定期的に名簿等を購入しているケースについて、個別具体的に判断されるものの「委託と同等の行為に該当し得る」としています(同ガイドライン 2.)。架電を頼まず、リストだけを買う場合も、管理の外にあるとは限らないということです。

リストの作り方と出どころの考え方はテレアポリストの作り方で整理しています。なおグッドアポは法人が架電先のため、リストは公開情報から作り、個人のお客様の情報をお預かりすることは想定していません【社内の運用】。

保険のテレアポでアポイントが取りにくい理由

保険のテレアポでいちばん大きい難所は、電話口で商品の話ができないことそのものです。「商品が良いから会ってください」という会う理由を、電話で作れません。ほかの業種なら使える手が、この業種では使えません。

難所は、対処とセットで見てください。下の表は②(法人への保険の電話)を想定したもので、②の架電実績にもとづく数字ではなく、規制の線と他業種での経験から組んだ見立てです【社内の設計値】。

難所なぜ起きるか打ち手
会う理由を商品で作れない電話口で具体的な保険商品の推奨・説明ができない課題や制度の側から用件を立てる(福利厚生制度の見直し、事業承継の準備など)
入口が埋まっているすでに付き合いのある代理店・金融機関・知り合いの募集人がいる既存の取引先を否定せず、別の切り口の情報提供の場として打診する
時期が固定されている決算期・更新月・人の入れ替わり以外は検討が動かない時期から入る。それ以外の月は接点づくりに置く
相手が電話に慣れている同業からの架電が多い誰宛てに何の用件でかけているかを最初に言い切る
「保険」で警戒される売り込みだと受け取られる用件を経営課題の側に置き、既契約の話には触れない
1回の電話で決まらない検討期間が長い1回のアポイントで決める前提にせず、商談から先の設計を先に決めておく

なお、既契約の見直しを電話で促す進め方は、この記事では扱いません。保険業法第300条第1項第4号が、不利益となるべき事実を告げずに既存の契約を消滅させて新しい契約を申し込ませる行為を禁じており、この記事の範囲を超えるためです。

アポイント率と時期の見方

グッドアポには、②(法人への保険の電話)のアポイント率の実績値がありません。ありもしない数字を置くより、持っていないと申し上げます。参考までに、グッドアポが保険以外の業種で扱っている案件では、アポ率(架電した件数のうちアポイントにつながった割合)は0.5〜4%程度の幅に収まり、多くの案件は1〜3%です【実績値:他業種】。保険の数字ではありませんし、商材・エリア・リストの質で大きく変わります。

時期については、③(保険業界への非保険商材の電話)の経験では、他の業種と大きくは変わりませんでした【実績値】。②の場合は、決算期や保険の更新月の前が検討の動きやすい時期になると見込まれます【社内の設計値】。時間帯そのものの考え方はテレアポの時間帯にまとめています。

誰が決裁者になるのか(商材ごとに違う)

法人への保険は、商材ごとに決める人が変わります。同じ「法人向け」でも、かける先を間違えると最初から話が進みません。この章の商材ごとの整理は、②の架電実績ではなく、商材の性質と他業種での経験から組んだものです【社内の設計値】。実績にもとづく記述には【実績値:他業種】を付けています。

経営者保険・事業保障の場合

代表者と役員が決めます。会社の数字と相続まで絡むため、顧問税理士の意見で止まることがあります。人数の少ない会社ほど代表に直接つながりやすく、グッドアポが他業種で架電している範囲では、従業員20名以下の会社では代表が電話を取ることもあります。個人事業主は携帯につながることが多く、とくにつながりやすい層です【実績値:他業種】。

従業員の福利厚生の場合

総務・人事の責任者から代表へ上がります。制度として入れるため社内の合意に時間がかかり、検討が年度の区切りに寄りやすいのが特徴です。

損害保険の場合

火災・賠償・業務災害などは総務・管理部門が窓口です。更新の時期に合わせて動くため、更新月の前が接点をつくる時期になります。

商材かける先動く時期止まりやすい場所
経営者保険・事業保障・役員退職金の準備代表者・役員決算期の前顧問税理士の意見
従業員の福利厚生総務・人事の責任者年度の区切り・制度の見直し時社内の合意形成
火災・賠償・業務災害などの損害保険総務・管理部門更新月の前既存の代理店との関係

決裁者に届かせる考え方は決裁者アポの取り方に整理しています。

受付で止まるとき

止まりやすいのは、受付がマニュアルで一律に断る会社と、自動音声だけで人につながらない会社です。自動音声だけの場合はやりようがないため、別の接点を探すほうが早くなります。マニュアル対応でない場合は、誰宛てに何の用件でかけているかを最初に言い切る、部署を特定してからかける、といった手で通ることがあります【実績値:他業種】。

ここでも、用件の立て方は前章の線の内側に収めてください。代表者に届かせる進め方は社長アポの取り方もあわせてご覧ください。

費用の見方と、保険で成果報酬を使うときの注意

保険では、料金の高い安いより先に、手数料の払い方そのものが論点になります。ここは②(法人への保険の電話)を前提に書きます。まず費用の見方を整理し、そのうえで保険に特有の論点を説明します。

どの料金体系が向くか

法人保険は継続して入る保険料が積み上がるため、アポイント1件あたりの単価が高くても回収しやすい商材だと考えられます【社内の設計値】。一方で、「会えたが決める人ではなかった」「すでに同じ内容で入っていた」といった、成果にならないアポイントが混ざりやすい商材でもあります。

さらに検討期間が長く、1回の電話では決まりません。そのため成果報酬型だけでは代行会社側のコストが合わず、コール課金型または複合型(コール単価+成果報酬)が向きやすいと考えられます【社内の設計値】。

料金体系保険で向いているケース注意点
月額固定型商材と会いたい相手が決まっていて、件数を継続して積みたい件数が読めないうちは費用対効果が見えにくい
コール課金型検討期間が長く、接点づくりから始めたい架電件数と質の両方を報告で見る必要がある
成果報酬型アポイントの定義を細かく決められる手数料の払い方そのものが保険では論点になる(次の項目)
複合型(コール単価+成果報酬)双方のリスクを分けたい2つの単価を分けて記録しないと、後から検証できない

料金体系そのものの詳しい説明と相場はテレアポ代行の料金にまとめています。

保険では、手数料の払い方そのものが論点になる

監督指針 II -4-2-1(2) は、募集関連行為従事者への支払手数料の設定について慎重な対応を求めたうえで、こう注記しています。高額な紹介料やインセンティブ報酬を払って募集関連行為従事者から見込み客の紹介を受ける場合、一般的にそのような報酬体系は、募集関連行為従事者が本来行うことができない具体的な保険商品の推奨・説明を行う蓋然性を高める、という見方です。

払う金額が大きいほど、受けた側が線を越える動機が強くなる、という整理です。生命保険協会の募集関連行為に関するガイドライン3.(5) はさらに踏み込み、「インセンティブ報酬」とは紹介者数や紹介者の保険契約の募集手数料等に応じて増加する報酬をいい、保険契約1件あたり定額の紹介料を支払うことも、件数に応じて報酬総額が増加することからインセンティブ報酬に該当し得る、としています。

ここは慎重に読んでください。ガイドラインが名指ししているのは保険契約1件あたりの紹介料です。アポイント1件あたりの成果報酬がインセンティブ報酬に当たるとは書かれていませんし、当たらないとも書かれていません。事実として言えるのは、「1件あたりいくら」で件数に応じて総額が増える形は、ガイドラインが注意を向けている報酬体系と形が同じである、というところまでです。

だから契約前に所属保険会社へ確認する

読者に必要な行動は1つです。成果報酬で頼む場合は、契約の前に、料金体系を所属保険会社のコンプライアンス窓口に出して確認してください。走り出してから体系を変えるほうが、時間も費用も高くつきます。

契約前にそろえておくものを挙げます。

  • 料金体系が書かれた見積書または契約書の案(単価の単位が分かる形で)
  • アポイント1件の定義を書いた文書
  • スクリプトの案と、その承認者を書いた文書
  • 委託先として出せる体制・情報管理の資料
  • 確認先(所属保険会社のコンプライアンス窓口、必要に応じて顧問弁護士)

アポイントの定義は、この業種でとくに重要です。グッドアポは着座ベース(商談の日程が確定し、実際に商談が実施されたもの)を1件と数え、資料送付の了承だけ、後日の折り返し約束は含めません【社内の運用】。保険の場合はこれに加えて、決裁権のある人かどうか、すでに同じ内容で入っていないか、といった条件のずれが起きやすいため、何をもって有効なアポイントとするかを契約前に文書で合意してください。成果報酬型で起きやすい行き違いは成果報酬型の落とし穴で整理しています。

テレアポ代行に任せられる範囲と、任せられない範囲

任せられるのは、リストの作成と精査、スクリプトの作成、架電、アポイントの日程調整、結果の報告までです。保険募集に当たる部分は、そもそも外に出せません。

任せられること

リストの作成と精査、スクリプトの作成(依頼する側が承認する前提)、架電、アポイントの日程調整、架電件数・通電数・アポイント数・断られた先・通話記録の報告です。

任せられないこと

  • 保険募集そのもの(保険業法第275条。再委託は同条第3項の要件を満たし認可を受けた場合に限られます)
  • 具体的な保険商品の推奨・説明
  • 保険料や保障内容の提示
  • 意向の把握、契約前の情報提供
  • 申込の受領、告知の受領
  • 委託先管理の責任(所属保険会社への報告を含みます)

自社で用意が必要なもの

どの商材で誰に会いたいのか、電話口で言ってよい用件の範囲、答えられない質問を受けたときの渡し先、そしてアポイントのあとに動ける募集人です。商材と訴求の方向性が決まっていない状態では、スクリプトの設計ができず、成果につながりません【実績値】。

スクリプトの扱いだけ、他の業種と違います。代行会社が書いたものをそのまま使うのではなく、商品の話に踏み込んでいないかを依頼する側が確認して承認する工程が入ります。

工程代行会社自社(依頼する側)
商材と会いたい相手を決める―行う
リストの作成・精査行う既存リストがあれば渡す
スクリプトの作成行う―
スクリプトの承認―行う(業務管理責任者・所属保険会社のコンプライアンス窓口の承認も得る形が望ましい)
架電・日程調整行う―
商品・保険料・保障内容の質問への対応行わない(依頼元へ渡す)募集人が対応する
商談・提案・申込―募集人が行う
報告(架電件数・通電・アポイント・断られた先・通話記録)行う受け取る
所属保険会社への報告資料を渡す作成・提出を行う

保険で依頼先を選ぶときに確認すること

確認する順番があります。料金や実績から入らず、電話の中身と委託先としての体制から確認してください。問い合わせのときにそのまま使える形で並べます。

  1. 保険の架電で、商品の話に踏み込まないスクリプトを書けるか。書いたものを見せてもらえるか
  2. 募集関連行為の委託先として、体制・情報管理・苦情の連絡・再委託の有無を書面で出せるか
  3. 架電するのは誰か(正社員か業務委託か、在宅を含むか、再委託があるか)
  4. リストは誰が用意し、出どころはどこか
  5. 個人データの受渡しの方法と記録
  6. アポイントの定義(役職、決裁権、日程の確定、商談の実施)
  7. 報酬の払い方(所属保険会社に出せる形になっているか)
  8. 報告の頻度と内容
  9. 断られた先の管理(どこに記録し、次のリストにどう反映するか)
  10. 契約期間と解約の条件

「保険の実績が豊富です」だけを判断材料にしないでください。その実績が①(個人のお客様への保険の電話)であれば、②(法人への保険の電話)の依頼では意味が変わります。どの型の実績なのかを必ず聞いてください。会社ごとの比べ方はテレアポ代行会社の比較にまとめています。

逆に、問い合わせの段階で答えようがない質問もあります。「アポは何件取れますか」は、商材・エリア・リストの質で変わるため、どの代行会社でも一概には答えられません。数字を先に出してくる場合こそ、その根拠を聞いてください。運用が想定どおりに動くかは、短い期間で試して確かめる方法があります(テストコールの進め方)。

テレアポ代行が向かない保険の仕事

外に出さないほうがよい仕事があります。先に挙げます。

向かないケース理由
①個人のお客様への保険の電話募集の線がもっとも近く、断られた先の管理と苦情の責任を依頼元が負うため、外に出す設計が難しい
既契約者への見直し・切替の電話既契約の話に触れる場面が避けられず、保険業法第300条第1項第4号(e-Gov法令検索)にかかる領域に入る
外貨建・変額などの特定保険契約を個人へすすめる電話保険業法第300条の2(e-Gov法令検索)により金融商品取引法の行為規制が準用される領域で、扱いが重くなる
商品の説明をしないと会えない商材電話口で商品の話ができない以上、会う理由が立たない
自社で架電を回せていて件数も足りている場合外に出す意味が薄い
商材と会いたい相手がまだ決まっていない段階スクリプトの設計ができない

向くのは、②(法人への保険の電話)で、商材と会いたい相手が決まっていて、電話口で商品の話をしなくても会う理由を立てられるケースです。アポイントのあとに動ける募集人がいることも条件になります。

グッドアポがお受けしているのは、法人向けのアポイント取得です。①(個人のお客様への保険の電話)、既契約者への見直し・切替の電話、特定保険契約を個人へすすめる電話は、別の専門の会社が向きます。ご依頼をいただいた場合は、この線でお断りします【社内の運用】。自社で回すか外に出すかの考え方は、別の記事で整理する予定です。

保険のテレアポ代行に関するよくある質問

Q. 所属保険会社への報告は手伝ってもらえますか?

A. 架電件数・通電数・アポイント数・通話記録などの報告資料はお渡しします。ただし、所属保険会社への報告書の作成と提出は、依頼した側の責任で行っていただく形になります。委託先一覧の様式で「委託している業務の分類」をどれに当てるかも、依頼した側が所属保険会社と決めることになります。

Q. エリアを限定して依頼できますか?

A. できます。エリアを絞ったリストの作成にも対応しています。

Q. 1か月だけ試せますか?

A. 条件次第で対応しています。短い期間で反応を確認してから、本格的に進めるかどうかを判断できます。

Q. 代理店が代行会社に依頼していることは、相手に伝わりませんか?

A. 架電時は依頼元の代理店名を名乗ります。代行会社の名前は出しません。全案件で共通の運用です。ただし、相手から会社の所在や担当者を重ねて聞かれた場合にどこまで答えるかは、事前に依頼元と決めておく必要があります。

Q. 通話の録音はもらえますか?

A. お渡しできます。報告は日次・週次が標準で、月次レポートにもご要望に応じて対応しています。

まとめ

保険のテレアポは、誰に何を売る電話かで別の仕事になります。判断の順番は4つです。

  1. 自社の電話はどの型か(①個人のお客様への保険の電話/②法人への保険の電話/③保険業界への非保険商材の電話)
  2. 電話口で言ってよい用件を誰が決めるか
  3. 委託先として、所属保険会社へ出せる形になっているか
  4. 手数料の払い方を確認したか

この記事で条文と指針を引いたのは、線を自分で引けるようにするためです。個別のケースが当てはまるかどうかは、所属保険会社のコンプライアンス窓口、顧問弁護士、金融庁・財務局にご確認ください。

グッドアポはBtoB専業のテレアポ代行会社で、法人への新規アポイント獲得を支援しています。保険業界からは、保険代理店・保険会社を架電先にした非保険商材のご依頼を中心にお受けしてきました。法人への保険のご依頼もお受けできますが、個人のお客様への架電は対応範囲外で、専門の会社が別にあります。

まず最初にやることは1つだけです。電話口で言ってよい用件の範囲を文書にして、所属保険会社に確認してください。そこが決まれば、代行に出せる仕事かどうかは自社で判断できます。

記事監修者

水貝 拓真

水貝 拓真営業戦略部 部長

グローバルIT企業で売上高1,000億円超のエンタープライズ企業を対象にIS3年。テレアポ代行の実績は5年以上。
単なるアポ獲得ではなく成約率まで追いかける支援を掲げ、テレアポ経由の成約率で最高53%を達成。
設計改善でアポ率を2倍に引き上げるなど、リスト・スクリプト・KPIの一貫設計を強みとする。

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